【ケーススタディ】「豊橋総合動植物公園」の休園日を活用したクワイエットアワー

感覚過敏研究所SDI推進室のサイトで、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品などの国内外の事例を紹介しております。多くの事例をお伝えしながら、目に見えない感覚におけるダイバーシティ&インクルージョンを考えるきっかけになればと考えています。

クワイエットアワーとは、お店のBGMや照明を落として、感覚過敏の方が落ち着いて買い物や館内滞在できる時間帯やキャンペーンデーのことです。今回は「のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)」を紹介します。

豊橋総合動植物公園のクワイエットアワーとは?

クワイエットアワーが行われている園内で絵を描く様子
引用:東京すくすく「感覚過敏の人に優しい「クワイエットアワー」音や光を控えめに 動物園、劇場、スポーツ観戦…全国で広がる」

感覚過敏を持つ方は、イヤーマフなどで音を遮っている場合でも、人混みに行くと様々な音に囲まれてパニックを起こしてしまい、身動きが取れなくなってしまうことがあります。

そのため当事者は、人の少ない時間帯で来園することが多いようです。しかしコロナ禍で日時を問わず幼児が増えたことにより、動物好きで来園を楽しみにしているのにもかかわらず、ある特に乳幼児の泣き声が苦手な感覚過敏を持つ当事者の来園が難しい状況になりました。

感覚過敏のある当事者の声を聞き、豊橋市長と豊橋総合動植物公園宛に特別入園制度を求める要望書が提出されました。豊橋総合動植物公園は、この要望書の意見を反映し、2020年から月3回の休園日を活用した、障害などにより通常の来園が難しい方に向けたクワイエットアワーを開始しました。

実施期間・利用方法

小学生以上の方は第2・第4月曜日、未就学児は第3月曜日に入園可能です。月曜日が通常の開園日の場合には、翌平日がクワイエットアワーになります。本人と付き添いの2人までは無料で、入園の際には付き添いが必要とされています。

休園日ということもあり、植物園エリアや遊園地エリア、レストラン、売店、自然史博物館、動物ふれあい、えさやり体験は営業していません。また見学できない獣舎や動物があり、開園時間は午前10時から午後3時までです。

クワイエットアワーを利用するには許可証が必要で、発行までには1〜2週間程度掛かり、自宅に郵送される仕組みです。許可証の有効期限は1年間で、入園の前日までに電話などで連絡する必要があります。

許可証を申請するためには、休園日特別入園許可申請書や身分証明書だけではなく、医療・教育・福祉機関などの意見書などで、通常開園時の入園が難しいことを伝える必要があります。基本的に許可証の申請が断られることはありませんが、申請の内容によっては断られることもあるようです。

所長・加藤路瑛のレビュー

当事者の要望に対応してクワイエットアワーが導入されたという経緯が素晴らしいと思います。勇気をもって要望を出した方も、またそれを受け止めた園にも感謝したいです。

休園日をクワイエットアワー実施日にしている点も注目したいです。売店やレストランなど営業されていない施設があるということですが、その分、さらに静かであると考えられます。

気になる点は来場者数でしょうか。休園日に少ない来場者のためにスタッフさんの対応が増えてしまうと負担になり継続が難しくなる可能性もあります。クワイエットアワーを継続的に行っていただくためには、運営コストや負担ができるだけかからないことも重要だと思います。

また、利用する側も医療機関などの意見書も必要で申し込みの手続きも負担が多いですし、チェックする側も作業が増えますので、もう少し手軽な運用になったらいいなと思います。

かかわる方にみなさんにとって良い関係や状態になる方法というのもありますので、提案したい・・・(関係者の方、この記事をご覧になっていましたらご連絡を!一緒に考えたいです)

動物園や水族館などたくさんの人が楽しめる場所に感覚過敏が理由で行けないのは悲しいことです。感覚過敏の方にやさしい施設が増えていくこの社会を嬉しく思います。

クワイエットアワーを広めたい!

センサリールームやクワイエットアワー、センサリーマップは感覚刺激に強い反応をする方々にとって安心できる空間・時間・ツールです。日本ではまだ浸透していない取り組みです。感覚過敏研究所SDI推進室としても、センサリールームの社会実装に力を注ぎたいと考えております。ご賛同くださる方、ともに社会実装に取り組んでくださる企業様・パートナー様を広く募集しております。

注)当記事は日本社会に向けて、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品の重要性をお伝えするものです。感覚過敏研究所SDI推進室が取り組んだ実績ではございませんので、ご了承ください。

引用/参考先

東京すくすく「感覚過敏の人に優しい「クワイエットアワー」音や光を控えめに 動物園、劇場、スポーツ観戦…全国で広がる」

東愛知新聞「感覚過敏の人らに豊橋総合動植物園無料開放へ」

豊橋総合動植物公園「休園日における入園許可制度について」

一般社団法人 日本自閉症協会、特定非営利活動法人愛知県自閉症協会・つぼみの会「要望書(音の過敏や人込みへの抵抗等により入園に困難がある人のための特別入園についての要望)」

文:いうと

感覚過敏研究所では、センサリールームやカームダウンスペース、クワイエットアワーの相談・企画・提案・設計などをおこなっています。

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